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『ガタカ』と『太陽』という映画を見ました。

ふだんあまり映画を見ないという知人に熱烈にすすめられた『ガタカ』を見る。そういう熱には乗ったが吉、ではないだろうか。

 

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遺伝子検査の結果で人生の行く先がなんもかんも決まっちゃう未来で、生まれつき遺伝的に劣った青年が違法な手段でのし上がり、幼いころからの夢であった宇宙飛行士として土星へと旅立つまであと一歩のところまでたどり着くが……あらすじとしてはこんなところ。『すばらしい新世界』の現代版といった趣きだけど、後味はさわやか*1。知人はこの主人公の「成り上がり」感にいたく感動したらしい。YAZAWAか?

 

ユートピアディストピアものいえば先日、映画館で予告編を見ておもしろそうかも、と思っていた『太陽』も借りて見た。わたくしめ、ユニクロの服とツタヤの100円レンタルDVDでじゅうぶん満足しております。生かしていただいてありがとうございます。自炊もします。もりもり食べ野菜。

 

この『太陽』には昭和天皇ではなく神木隆之介が出ている。ほかにいろいろな男や女も出ている。

 

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 原作・脚本の前川知大さんという名前、どこかで見たようなと思ったら、以前チケットをもらって見に行った演劇の脚本を書いた人だった。そちらもディストピア的な設定だったので、なにか一貫したテーマをもってやっておられるのだろう。『太陽』ももとは舞台だったそうだ。差別され隔離され追い詰められた側がそれゆえに発露する醜さを描く、ラスト近くのシーンが鮮烈だった。一点、安っぽいCG含め、発達した未来社会の描写にチャチな印象を受けてしまったので、これならむしろ演劇として見てみたかったという気もする。

 

若気のなんちゃらというやつで昔、ディストピアものの名作を読みもせずに、どうせ安っぽい風刺だろうと遠ざけていた時期があった。その後『1984年』なり『すばらしい新世界』なり、『われら』なり『華氏451度』なり、あるいは伊藤計劃なりをちょぼちょぼと読んで、おもしろいものもあればやっぱりなというものもあり、まあものに拠るわという結論で今にいたる。トランプ政権が誕生したアメリカで『1984年』が売れているとかいうニュースを聞くと、そこには何も書いてないよ、と鼻白む気持ちも残ってはいる。

*1:とはいえ物語の最後、主人公にアイデンティティを提供していたジュード・ロウ演じる半身不随の元エリートがとった選択は悲劇的といえば悲劇的だ。でもこれはまさに、『すばらしい新世界』の絶望的なラストを裏返しにしたものだとぼくは解釈する)